「70年万博収集資料」展@国立民族学博物館
4月末から職場が再開館したことにともない、月曜が定休日に。
とはいえ、博物館などは休みが多くなかなかいくことができない。
会期末ということもあり、次の展示を見てきた。
展示は「日本万国博覧会世界民族資料調査収集団」(以下EEM)の資料収集過程を地域ごとに追い、太陽の塔内部に実際に展示された各地域の仮面や彫像を展示したもの。
EEMがどのように収集していったのかが簡単にまとめられているが、これが興味深い。
収集の予算見積もりとか。
各地の概要説明で興味を引いたのは次の点。
- 西アフリカでは旧宗主国による収奪・買収が終わっており、「本物」の資料を見つけるのが困難であったということ。ここでは「本物」とは何か、という問題にも。
- 北アメリカでは収集した資料の収集地と居住地が一致しないという問題が。博物館や個人収集家を介した間接収集となったからであり、来歴確認が難しい。そのため、民博ではソースコミュニティと民俗資料を「再会」させる試みを行っているという。
道具を見せ、どのように利用していたのかを調査しており、カルチャル・センシビリティ*1に該当しないものを展示している。このような試みがおこなわれていることは知らなかったが、人ごとではない問題なのかもしれない。 - あと、冒頭に収集に反対する声明を東大の文化人類学研究室の院生が出しており、その声明も展示されていた。残念ながら図録にはない。
これ以外にも様々あるかと思うが、これは行ってよかった展示。図録(1600円)では収集過程がもう少し詳しく記されている。
*1:宗教的・倫理的理由により秘匿性が高いとされる取り扱い注意が必要な物質文化や伝統知