徒然なる日常

田舎の学芸員がいろいろと感じたことを徒然と思い付くままに。

「博物館の歩み」展と「慈雲尊者と高貴寺」展

本来であれば、福井でおこなわれる催しに参加して、どこか見る予定だったけど、おりからの大雪により延期に。ということで、考古系博物館でおこなわれてる展示を見てきた。

特別陳列「博物館の歩み」@橿原考古学研究所附属博物館

橿原考古学研究所が今年創立80周年を迎えるということで、これまでの歩みを所蔵資料やポスターなどで紹介するというもの。
前身である大和国史館(1940~49)、大和歴史館(1949~70)、橿原公苑考古博物館(1970~80)という流れを恥ずかしながら知らなかったため、興味深く見ることが出来た。

1940年の皇紀2600年祭を記念して橿原道場が整備されるにあたり、発掘調査が必要となり、そのために発足したのが橿原考古学研究所で、橿原道場の施設の一つとして設立されたのが、大和国史館。
大和国史館時代の展示概要が展示されていたが、そこでは通史も一応展示されていたようで天誅組や日清・日露戦争といった内容の展示があったようである。
展示概要以外に、業務日誌類が多く残されており、終戦時の箇所を展示していた。
特段変わったことなく開館業務をおこなっていたことなど分かる。
皇紀2600年祭との関わりなど、近代史でも考えることが資料だと思うので、活用の道を開いて欲しいものである。

このあと、名称が変わっていく中で、現在の橿原考古学研究所附属博物館になっていくが、考古学中心の博物館になっていく傾向が深くなっている。
国史館が通史展示をおこなっていたことを考えると少しばかり残念である。

続いては近つ飛鳥博物館で次の展示。

展示詳細-平成29冬 慈雲尊者と高貴寺-近つ飛鳥博物館
河南町にある高貴寺には名だたる僧が入山しており、そのうち慈雲飲光という高僧を紹介したもの。
郡山藩主の柳沢保光から深い帰依を受けており、本寺の堂舎整備の支援もあったという人物。
展示は慈雲のひととなりを紹介することが主で、書画が中心。
個人的には、柳沢保光との関係をもっと深めて見てみたかった。
あと、高貴寺という寺院そのものも。