春画展と京博
さっさと行かないと行かないままだと思ったので、朝から京都に。
春画展@細見美術館
shunga.emuseum.or.jp
開館してすぐであれば余裕だろうと思ったら甘かった。
館に入るのに10~15分程度並んだだろうか、ようやく入館するも展示室が混んでいてじっくりと見る事はできない。
展示室自体が狭い事もあるかと思うけど、どの部屋も入り口付近が混雑していて進まない。
展示室内の係員が「自由観覧なので空いているところから見て下さい」と声かけするもなかなか見れない。
第1展示室のものはほぼきちんと見る事ができずに泣く泣く先を急いだ。
第2展示室も混んでいたがそれなりに見る事はできた。
一番じっくりと見る事ができたのは第3展示室。
がらがらではないもののじっくりと見る事がようやくできた感じ。
ここで喜多川歌麿の「歌まくら」と葛飾北斎の「喜能会之故真通」をじっくりと見ることができたので良かった。
結局じっくり見る事ができたのは1つの展示室でしかなかったが、展示室が狭いというところは一つの問題なんだろう。あと、展示室間の移動が階段を利用しての昇降であることか。展示室間を自由に行ったり来たりしにくいというところが混雑の原因の一つかと思った。
とはいえ、「春画」に多くの人が興味を示しているからこその混雑も当然ながらある。
しかし、「エロ」というイメージがあるのは当然ながら、浮世絵としてもいいものが展示されているという点からこういう所からでも近世絵画などなどへの興味が進めば良いかと思う。*1
帰りに図録(4000円)を購入。思っていたよりも版が小さかったが、分厚い。見応えあり。
京都国立博物館
細見美術館を見た後、バスにて南下し七条へ。
昨年末来おこなわれている研究会で近世の妙法院・方広寺周辺の話を聞いたのでそれらの寺院をみることと、京都国立博物館で行われている特集陳列「獅子と狛犬」を見る事が目的。
まあ、平成知新館を見たかったのもある。
平成知新館は広かったが見応えある展示ばかりだった。
目的の狛犬は当然ながら、漆芸、陶器、書跡などなど思っていたよりも良かった。
中世絵画の部屋は空いていたが、雪舟「天橋立図」をじっくりと見る事ができたし、近世絵画の部屋では円山応挙、長澤蘆雪などの絵がじっくりと見る事ができたしで結構満足。
新館なので照明などの使い方も良く、こういうのを職場に反映させたいところだけど…。
ここの1部屋くらいの広さが春画展の展示室だともう少しゆっくりできたかなと思うところ。
京都文化博物館の「実相院門跡展」も面白そうだったけど、ちょっと疲れたのでパス。
カネ・人・こころ@歴史に憩う橿原市博物館
年末から諸事情で自由に使える車が無かったので出歩けなかったけど、先週末にようやく新しい車が来た事とこの展示が気になっていたので見学。
展示タイトルそのままでお金の展示。
発掘で出てきた皇朝十二銭や富本銭から近世の藩札、慶長大判、現代のプレミアム商品券や電子マネーと様々なお金を展示。
実際に利用していたものから贈答品まで、用途なども説明しており解説ボランティアの方も見ていて楽しいとの事。
土器などの遺物中心の博物館なのでモノがしっかりした展示になるけど、少しは文書も、と思うが専門の人いないようだし仕方がないか。*1
図録(300円)も販売しているので購入して、どういう研究を参考にしているのかなと思って開いてみたら、参考文献なし…。これはあった方が良いと思わずにいられない。
ハンズオンとして千両箱を持ち上げてみよう、というコーナーがあり、勧められたのだけど持ちませんでした。*2
絵図の企画展を見る
この秋は絵図を扱った展示がちらほらと行われている。
北摂のほうの展示も気になるけど、先日南大阪で行われている絵図関係の展示を見てきた。
以下は簡単な感想。
近世狭山池絵図-水下農民の狭山池改修史@狭山池博物館
まずは、狭山池博物館のこの展示。
池守田中家文書を使った展示はよく行われているけど、これはその文書群から近世の狭山池改修に関係する絵図類を展示したもの。
狭山池だけではなく、西除川・東除川流域も含めた水利を描いた絵図も含み、狭山池西樋の改修について結構大きく取り上げられていた。
絵図だけで関連する文書などあるとうれしかったのだけど、絵図の状態も良く満足できるものであった。
絵図には西樋・東樋の近くにそれぞれ「樋役人三拾軒」という形で家並が描かれていたが、これらの存在が気に掛かった。大阪狭山市史を読めば分かるのかも知れないが。
展示では述べられていないが、図録では「池守田中家文書の伝来と成立」という文章があり、展示のいい補足になっていると思う。
堺復興-元禄の堺大絵図を読み解く@堺市博物館
国立歴史民俗博物館が所蔵する元禄2年堺大絵図が初めて堺で展示されるという事で行われたもの。
元禄2年の堺大絵図は朝尾直弘「元禄二年堺大絵図を読む」*1で詳しく紹介されているが、そこで紹介された絵図そのもの。
非常に大きなもので10枚に分割されて伝わってきたもののうち8枚を展示し、その地区ごとの特徴を紹介していた。
修復が施されているとはいえ、折り目部分の剥落など損傷も大きいのだけど、十分に見応えのある絵図であった。
地域によって大きい家屋敷ばかり集まっているところもあれば、小さい家屋敷が密集しているところなど違いがあるのがみてとれた。
ただ、展示を見てその違いは説明されてなかった気がする。
大小路に沿った町は南北を面にした町となってるのに対し、多くの町は東西を表とした町並みになっていたことや、前に述べた家屋敷のあり方の違い。
こういった所が説明されていなかったかと思う。
もう少し細かく絵図を見た説明がほしかったのと、朝尾氏の研究成果への言及が展示では見られなかったのが残念。*2
近世堺の都市史研究の進展度合いが進むともう少し詳しい紹介がされたのだろうと思う。
なんやかんや言いつつも両方の展示は面白かった。特に堺大絵図をあれだけまじまじと見る事ができたのは本当に良かった。両展示とも図録が販売されているので、お勧めしたい。
鋳物師の里 五位堂@二上山博物館
ブログを作ってみたのはいいけど、なにを書くか思案中。
だったけど、とりあえず見た展示の感想とかから始めてみようと思う。
で、一番近い日に行った展示から。
二上山博物館は「旧石器文化を紹介する石の博物館」ということで、なかなか足がむかなかった。
そんな中、鋳物師の展示をするということで見学に。
香芝市の下田、五位堂は鋳物産業が盛んだったらしく、鋳物師関係の資料が市指定文化財となっている。これまでも展示されていたらしいが、今回は特別展。
展示品は鋳型と真継家からの許状が中心。
文書目当に行ったのだけど、文書が少なく少々残念。
しかし、これには理由があり所蔵していた方のお家が火災にあったとのことで、一部焼失してしまったらしい。幸いな事に自治体史編さん時に一部写真を撮っていたということで、それらはパネルに。
鋳型は並ぶと圧巻。鋳物師をこういったモノから考えた事がなかったので興味深い。
下田・五位堂の鋳物師が作成した各地の鐘も紹介されており、各地の資料とつきあわせるといろいろ分かるのだろうかと考えさせられた。
内容は興味深かったのだけど、気になったのはパネルの字の大きさ。
情報量を詰め込みすぎて小さくて読みづらい。
ここだけに限らず、よく見られるのだけど長々と説明しても観覧者はなかなか読まない。できるだけ字数を少なく、ポイントを抑えた文章がいると思う。
まあ、これを抜きにしてもいい展示だったと思う。
せっかくなので常設も見たのだけど、香芝市の歴史年表は近世以降スカスカであった。
「旧石器文化」の博物館に求めるものではないだろうけど、気になったところである。