徒然なる日常

田舎の学芸員がいろいろと感じたことを徒然と思い付くままに。

高松塚古墳を掘る@飛鳥資料館

展示を見て備忘録的に、簡単ながら感想を記そうと思いつつ、1年以上放置してしまった。展示を方々に見に行っているのに…。

ということで、明日香までこの展示を見てきた。

www.nabunken.go.jp

高松塚古墳の石室解体調査を通しての成果を紹介するもの。
飛鳥資料館はこういった調査方法などについての展示をおこなっており、考古学についてなかなか関心の持てない者としても興味深いもの。

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調査時の図面や撮影カメラも展示。デジタル化していく様子も分かる。

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石室上部の剥ぎ取りと地震痕跡(下)。版築という古墳の築造方法について初めて知った。

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展示室の始めにある作業体制と調査目的について記した黒板。
奈文研、東文研、橿考研、明日香村教委での分担状況と、調査目的を記しており、展示目的の導入的役割を果たしている。

出土遺物も展示されていたが、展示としては石室解体調査の過程を紹介することが主であり、観光客には少し拍子抜けする展示かも知れない。
とはいえ、どのように解体工事をおこない、石室がどのような状態であったのかなどをまとめて展示していたので、具体的な作業がわかり、いわゆる文献史学の者としては興味深い展示だった。

図録(1100円)も販売されており、内容もさることながら装丁も少し凝っている。